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六助の大帰省−第2部@ 投稿者:六助 投稿日:1998年02月16日 23時29分
予定というものはそうそう。うまくいかないものだ。
このYHから泊駅へのバスの始発は8時10分であった。
泊駅から次の富山駅行の発車は8時25分。正確な距離はわからないが、どう考えても無理じゃないか。
僕にはそんなあきらめに似た感情が全身に染み込んでいった。
僕は早速時刻表を取り出して、明日の計画を練ろうと考えた。しかし、
心の隅ではどうでもいいんじゃないか。そんな冷めた感情が沸き始めていた。
そして、その沸点はあっけなく訪れた。僕は時刻表を放り投げると寝転がりぼんやりと天井を見上げた。
気がつくと人の足跡が聞えた。どうやら人がいるようだ。とりあえずお風呂にでも入ろうか。と思いバッグ
を広げた。バスタオルが入っていなかった。しかたがなくタオルをもって風呂場へ向かった。
戸を開けるとジャージ姿の青年がお堂の前にあるテレビを見ていた。
どうやらもう一人のお客のようである。僕は軽く会釈をした。
彼もビデオを再生するかのように会釈を返してきた。
僕はそそくさと風呂場へ向かった。
別に彼がどうのという気持ちじゃなかったが、何故か彼と話す気にはなれなかった。
それはもしかするとその青年に自分を見たような、そんな恥ずかしさと苛立ちがより僕を無口にさせた。
このYHの風呂は浴槽が埋め込み型で、まるでサンドイッチのような形をしていた。
すこしぬるくなった風呂に僕はぼんやりとつかっていると。その日の出来事がまるで夢の様に
切り取られた残像が消えては浮かんだ。
そそくさと風呂を上がり、部屋へと向かった。
彼はテレビをみたままだった。
僕はさっさと布団を引いて落ちていくように眠った。
(^^;)つづくんです。。。