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そうアレは、12月の終わり頃。
大晦日も近い日で寒さが身にしみた日の出来事。
僕は、出張で若狭へ来ていた。そう、夏は賑やかな若狭湾のある町に。
さすがに冬は、静かで寂しげに感じる所である。幾つもの民宿が立ち並び、その近くに広い浜辺がある。
こんな真冬に若狭で泳ごうと言う酔狂な者は、サーファーだけである。
僕もそんな夏にしか泊まらない民宿に宿をとっていた。
いつもどうりに仕事を終え、やっと神戸へ帰ることが出来ると息巻いて僕は、仕事現場からタクシーに
飛び乗った。僕が泊まっている民宿から、仕事現場まで車で50分はかかってしまう。一旦、宿へ戻り
荷物を取りに行かなければならない。今、夕方の5時。このまま行けばじゅうぶん最終の大阪行きの特
急電車雷鳥に間に合うはずであった。
しか〜〜し、そんな僕の予想は、早くも崩れさったのである。
「フッ・・・・こんな時に・・・・渋滞とは、・・・。」
そう、民宿へ向かう道で渋滞していたのだ。
それも10分に一度500m動けば良い方で、まったく前に進まなかった。
それでも何とか民宿へたどり着いた時には、もう、7時をまわっていた。
「はふぅ〜〜。ヤバイ!!!」
僕は、民宿に着くなり自分の荷物をかき集めて宿を急いで飛び出した。
近くの駅へ走ったのである。
若狭の町から直接特急に乗る事は、出来ない。まず小浜線で敦賀駅まで行きそこから特急雷鳥に乗り換
えるのだ。その小浜線というのは、とてもナイスな路線である。小浜線は、単線であり、快速なんて便
利なものはない。どんこうしかないのは、この辺では当たり前で一時間に一本電車が来ればラッキーで
あるのだ。それに無人駅で電車が来てもドアが開かない。そう、手動なのである。
そんな、小浜線の電車に揺られる事2時間。やっとこさ、敦賀の駅に着いたのである。
時計を見れば、もう9時15分をさしていた。最終の特急雷鳥9時40分発に間に合ったのだ。
「フッ・・・・小浜線で2時間・・・・・無駄な時間だ・・。」
そこで僕は、重大な事に気がついた。
さっきから、腹の虫が鳴きっぱなしで止まらない。
あまりにも急いでいて飯を食べる事を忘れていたのだ。
「そうだ!特急の中で弁当を買おう!」
この時僕は、来るはずであろう車内販売に命をかける事にした。
時間は、9時40分。そして、特急雷鳥がやって来た。
つづく