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昼下がり。
土曜日の喫茶店には、女子高生が三人だけと殺風景だった。
それでも明るい若者の声が店内を賑わせていた。
「ねぇ、聞いた?」
「えっ?何?」
「殺人事件よ。最近、またこの町の近くで殺されたんだって!」
「あの今話題になってる吸血鬼殺人事件?」
「そう!それよ!なんだか最近ぶっそうよね。」
四角いテーブルを囲んで三人の女子高生がそんな話題を話していた。
三人の女子高生の内、一人だけが大人しく下を向いて二人の友人の話を聞いている。
今日にかぎってやけに元気のない友達の姿に二人の女子高生は、顔を見合わせた。
「ともこ?今日は、元気ないよ!どうしたの?」
「え?・・あっ・・うん」
ともこと呼ばれた大人しい女子高生は、友達の言葉に顔を上げた。
「まさか、昨日夜遅くまで勉強してたって言うんじゃないでしょうね?」
「あはは、そのまさかだったりして!」
ともこは、嘘をついた。
ともこは、最近少しづつおかしくなって行く自分に不安を感じていた。
夜。
特に満月の夜にともこの身体がおかしくなる。
満月の夜になると喉が乾き。そして、無性に暴れたくなるのだ。
その後の事は、いつも記憶が途切れている。
気が付けば朝だったって事がよく起きるのだ。
そんな不安にともこは、医者に診てもらった事があった。
でも異常は、見あたらないと言われて帰ってきた。
自分の身にどうしてそんな事が起きるのか不思議だった。
何か訳の分からない奇病にかかってしまったのだろうかと悩んでいた。
「またまた、ともこったら冗談言って!抜け駆けして一人成績よくなろうなんて、許さないからね」
「そんなつもりじゃ、無いんだってば!」
とこもがそう叫ぶと友達の二人がニッコリと笑った。
「よ〜し、ともこ元気になったみたいだし。そろそろ出ようか?もちろん、ともこの奢りでね」
友人の一人がそう言って立ち上がると、ともこに向かって満面の笑みを浮かべるのだった。