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「そこまでだ!!!」
突然大きな声が真夜中の公園に響きわたった。
その声の持ち主は、あのふらりと公園にやってきて、殺人犯に襲われそうになっていた中年男のものだった。
その中年男は、警察官が持つ拳銃をかまえて鋭い眼光で殺人犯である少女を睨みつけた。
その事に少女は、火野の首を締め上げていた右手を放した。
火野の身体は、重力に引かれドサっと地面に崩れ落ちた。
「げほげほげほ・・・うっ!」
火野は、少女の足元でむせ返りその場から逃げる事も出来ずにじっと少女の顔を見ていた。
中年男が一歩ずつ近づくたびに少女は、後ずさりを始めた。
少女は、中年男が握っている拳銃に恐れを感じてるようだった。
そして、ある距離をその中年男が超えたとたんに少女は、素早く身をひるがえし逃げようと動いた。
すると、中年男の容赦のない拳銃の一撃が少女に向かって放たれた。
火野が思わず少女の身体を突き飛ばすと少女は、一回転して何事もなかったように地面に着地した。
しかし、その少女の顔は、苦痛に歪み、傷つき血が流れ出る右腕をかばった。
どうやら、中年男の拳銃の弾は、少女の右腕をかすめただけのようだ。
少女がキッっと中年男を睨みつける姿は、荒々しくもあり、美しくもあった。
「動くな!!!」
もう一度、中年男が叫んだ。
だが少女は、そこ言葉を聞く間もなく霧の様にその場から消えてしまった。
「ちっ・・・逃がしたか・・・」
中年男が悔しそうにそう呟く。
そして、中年男はゆっくりと火野の方へと近づいてきた。
中年男は、落ち着いた様子で火野に問い掛けた。
「おい!貴様、どうして犯人を助けた?」
「・・・・あんた、警察だろ?」
「ああ、俺の名は、根津だ。この事件を担当してる!」
「警察が犯人を殺して良いなんて法は、無いだろ?」
「フッ・・・・その通りだ!」
根津は、ニヤリと笑うと火野の腕を取り立ち上がらせた。
火野は、自分の身体に付いた泥や砂を払いのけると大切なカメラが無事である事を確認した。
すると、根津が火野のカメラを掴んだ。
「犯人の写真、撮れてるな?」
「ああ、おそらく・・・・撮れてるぜ!」
「これから、事情徴収だ!近くの交番で良い!来てくれるな?」
根津のその言葉は、あきらかに命令である。
火野は、あきらめたように首を縦に振った。