[返信記事を書く]


梅雨晴れの日に・・・・・・・・・ 投稿者:P 投稿日:19100年01月18日 06時08分
 僕が小学五年生の時、おじいちゃんが死んだ。
死因は、癌だった。
僕が小学校へ入学した頃から、おじいちゃんは入退院を繰り返していた。
父も母もいつ死んでもおかしくないって言っていたのを覚えている。
最初は、胃潰瘍で入院したと僕は、父から聞いていた。
でも実際は、末期の癌だったって、おじいちゃんが死んでから父に聞かされた。
僕が不思議でならなかったのは、どうして本当の病名を父が教えてくれなかった
って事。心配を掛けたくなかったってのもあるかもしれないが、父がそんな事
考えてたとは思えない。僕は、口が軽いわけじゃないし、そんな事言いふらす
事なんてしない。
つまり父は、僕の事を信用してなかったのかもしれない。
僕は、幼い頃から自分の家庭が少し変わってる事を感じとっていた。
会話の無い家族との毎日の食事、父と血の繋がりがないおばあちゃん、
父の言いなりの母、暴力的な父。
時々ストレスでヒステリーを起こして、僕や姉に体罰をあたえる母に脅えて
暮らした時もあった。
母の目は、いつも姉の方を向いていた。僕には、かんしんがなかったようだ。
父は、そんな家族をかえりみずに自由気ままに生きてる人だった。
だから、僕はおじいちゃんに可愛がられて育った。
その時まで父や母よりおじいちゃんの方が会話が多かったように思える。
学校の授業が終わって家に帰ると母が慌しく僕の前に飛び出してきた。
「ヒロキ!おじいちゃんが危篤なんだって!!今から一緒に病院に行くから!!」
母は、そう一方的に言うと黒塗りの電話(昔の黒電話)の受話器を手に取り、
ダイヤルを回し始めた。
「もしもし!山口って言います!タクシーを1台お願いします!住所は、○△□×!
ハイ!30分後?ハイ!わかりました!」
母は、そう言った後一度ため息をつき、ゆっくりと受話器を下ろした。
そして、30分後母と共におじいちゃんの入院している病院へ向かう事になった。

つづく
(この小説は、俺の友人が体験した実際にあった実話です。)