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おじいちゃんが入院している市民病院に僕と母がついた時、いきなり雨が降りだした。
短い時間だったけど、激しく、力強く、全てを洗いながしてしまいそうな凄い雨だった。
僕と母は、雨に濡れながらもタクシーを降りると病院の中へ掛け込んだ。
すでにおじいちゃんの居る病室の前には、父の弟である伸一おじさんが立っていて、
僕と母を迎えてくれた。
そして、僕が病室の中へ入ろうとするとおじさんが口をひらいた。
「今さっき、息をひきとったよ」
そのおじさんの言葉に僕は立ち止まって母と共にゆっくりとおじいちゃんが横たわって
いるベットの近くまできた。
死んでしまったおじいちゃんの姿は、痩せ細っていて骨と皮だけになっていた。
癌との闘病生活の激しさを物語っていた。
初め見た感じは、本当に死んでいるのか、眠っているのか見分けがつかない。
ただ、ピクリとも動かないおじいちゃんの姿は、僕の心に焼きついた。
おじいちゃんが死んだって事で別に悲しくは、なかった。
だけど僕は、おじちゃんの為に泣いてあげる事にした。
おじちゃんへの贈り物のように。
その直ぐ後で父が遅れてやってきた。
おじいちゃんの死にめに逢えなかったのが父には、くやしかったようだった。
そして次の日、おじいちゃんの遺体が我家にやってきた。
おじいちゃんの通夜には、親戚中に人達が集まってきた。
中には、僕の知らない親戚も大勢いた。
僕の親戚は、たくさん居るって事がこの時始めてしったのだ。
元々おじいちゃんが婿養子だったのでそのすじの親戚もいたし。
おばちゃんは、おじいちゃんの再婚あいてなので、父の母の親戚といっぱいいるのだ。
それに加えて父の弟に妹が居るってぐわいである。
そうなるとけっこうな人数になるわけで、家が昔のつくりで広かったってのが救いだった。
それでも足の踏み場に困ったものだ。
つづく
(この小説は、俺の友人が体験した実際にあった実話です。)